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南都七大寺のひとつ、元興寺の門前町として栄え、かつての奈良町の佇まいを今に残す西新屋町に「奈良町資料館」がある。
オープンは昭和六十年。南・奈良町資料館長の自宅を改造しての始まりだった。また、これは奈良町の私設資料館の先駆けでもあった。
南館長は、家業の蚊帳を全国に行商していた頃、各地に残された吉い町並みや文化財を見聞し、その保存の大切さを身をもって知った。二十年かけて集めた貴重な資料は、懐かしい昔の看板が約八百枚、美術品や奈良町の艮俗資料が数千点、元興寺ゆかりの仏像が数十点などである。
これらの一部を同館で無料公開している。生活のぬくもりが感じられる民具類を見て、懐かしむお年寄りもいれば、昔の人の智恵に目を丸くする子供たちがいる。
また、守り伝えられてきた仏様に静かに手をあわす人もいる。長年の風雪に耐えてきたこれらのものは、時を越えて人々に感動を与え、今なお光輝く。奈良町の魅力はこのあたりにあるのかもしれない。
吉祥天女は、一切の貧窮や災いを除き、豊穣と財宝を得るなどの功徳がある。日本霊異記のなかにも窮しき女王が吉祥天女に帰依して助けられる話がある。その吉祥天女をまつっていた諾楽(なら)の左京の服部堂は西新屋町にあったが、宝徳三年(1451)の土一撲で焼失。
奈良町資料館では、平成三年に「平成の吉祥天女さん」を造り、同館内に吉祥堂を再建、入魂式を営んだ。良縁・子宝を授かることでお参りの人が後を絶たない。
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